Elizabeth Restaurantでの夢のディナー
姉のように慕っている友達リサ。彼女とは冬のカフェでたまたま入り口近くの席に隣同士に座り、しまりの悪いドアを交互に閉めあっている間に会話が生まれて、そこから家に遊びに来るようになった偶然のような運命の巡り合わせで出会いました。
その彼女が、私がシカゴに来てからずーっと憧れていたレストラン「Elizabeth Restaurant」のディナーに招待してくれました。ブランチには2度彼女と行ったことがあるのですが、ディナーは初めて!
食品業界の大手でパッケージデザインをしているリサはディナーの前に友達のフォトグラファーが主催するプエルトリコの支援金を集めるパーティーに連れて行ってくれました。アメリカでこの手のパーティーに行くのは初めて!SATCで見ていたような雰囲気が実際に目の前にあって、ちょっと緊張...。でもリサの仕事仲間のフードコーディネーターやフォトグラファーが気さくに話しかけてくれ、楽しい時間を過ごせました。
会場ではアーティストの作品のオークション。これで集めた資金が支援金になります。
そしていよいよディナー。エリザベスのシェフは女性で、小さな農家の家庭で育ち、料理学校には行かずに15歳からレストランの皿洗いからずっとレストラン業界で独自に学んできた方。シェフとしての賞をたくさん受賞してきてレストランは2つ運営、写真で見る限りとってもかっこいい女性!と思っていたのですが、実際にあったシェフはとても物腰の柔らかい、話し方も穏やかな、ほんわりした女性でした。(しかも、テーブルを回って挨拶したあとにさりげなくお皿を片付けてくれる!)
ディナーもブランチも季節によってプリフィクスのメニューが替わり、今の季節はAlice in Wonderland、不思議の国のアリス。(食べながらメモったことを英語のまま載せます)
Mushrooms, Rabbit, and Tea まずはお話の中でも印象的なDrink Me, Eat Mel。小さなティーカップにしみじみとした味のきのこのスープ、それにウサギが走っていた丘を思い出させる緑色の芝のような表面のウサギのテリーヌ。
Beggars Purse of Gruel クレープの中にチーズクリーム。
Oysters and Cucumber Jellies 小さくてかわいい牡蠣にきゅうりのジェリー。Micro Shiso ってちっちゃなシソが!これ、家で育てたいなぁ。
サーモンのテリーヌのようなものの上にきゅうりとHerring roeって言ってたから数の子がのってました。とっても和な感じ。
Butternut squash and Foie Gras soup バターナッツスクウォッシュのスープに海の味がする緑の葉っぱ(green leaf tasting ocean)、ところどころにフォアグラのオイルがかかっていて、一口ごとに違う味を楽しめるようになってました。家で作るのとは大違い!
Bread and Schmaltz エリザベスはパンも美味しい!中がしっとりもっちりで、クラストがかみごたえ満点、穀物の味がしっかりします。バターにはきゅうりの塩がパラパラと。これが塩っ辛くなくミネラルの甘さいっぱい。
Porridge Enoki with egg, garlic oil, spaghetti squash えのきの下には卵とガーリックオイルとスパゲッティスクウォッシュで作られたカルボナーラクリームのような、甘めのマヨネーズみたいなものがひかれていました。えのきの食感とそのクリームのまろやかさ。お代わりほしかったなぁ。
The Queen of Hearts, inspired by Michel Bras 今回のメニューはどれも初めての味や食感や組み合わせで印象的でしたが、これが私の一番のお気に入り!Dried elder flower, pickled pomegranate, smoked beets, to cook elder flower in water, add sugar and butter とメモしてありましたが、スモークしたビーツのハートにざくろのピクルスや食用の花、野菜の輪切り、ビーツクリーム、オイルなどが散らされたプレート。ビーツの下にはエルダーフラワーのとろんとしたシロップがひかれていて、甘さとスモーキーさのバランスが絶妙!私の人生の中でもきっと思い出に残る一皿だと思う。" inspired by Michel Bras"ってあるけど、このミシェル・ブラスさん、シカゴでもエリザベスやCeller Door Provisionのシェフたちが影響を受けている有名フランス人シェフ。フランス以外での支店は唯一、北海道洞爺にだけ!これは帰国した時に行きたいなぁ。
Mock Turtle Soup Venison w/ candied cranberry 鹿肉と根野菜のスープ仕立て。このお供にサラダとパンケーキが付いてきました。サラダの色合いがとってもかわいい。
Cheshire Cat Meringue Lavender ice cream and almond melange and coconuts チェシャ猫のメレンゲ。写真技術により色があまりわかりませんが、食品の酸とアルカリの性質を利用してピンクと青に色付けしたとろとろマシュマロみたいなメレンゲの下にはラベンダーのアイスとココナッツのグラノーラ。このデザート、自分で作れたらいいなぁ、ヒーローになれそう。
手作りミルクアイスクリームにラズベリーソースともう一つ赤いソースをかけて筆で色付け。子供の頃、外で牛乳と卵でシャカシャカ作ったアイスクリームを思い出す素朴な味、それなのにこの見た目。ギャップがたまらん。
All the little cookies サムプリントクッキー(親指でくぼみをつけてジャムなどのせるクッキー)、ケーキっぽいチョコクッキー、マカロン3種(ビーツ、エルダーフラワー、もういっこ忘れちゃった...)、チョコレート
キッチンはオープンで、そこで作っているシェフがテーブルまで運んでくれます。みんなフレンドリーで、キッチン内ではとっても真面目に自分の仕事に誇りを持って作っているのが感じられます。時々キッチンからピリピリした空気が感じられるレストランもありますが、エリザベスはオーナーシェフの人柄もあってか、みんな仲間、同じ志を持って良いものを作り上げるチーム、という雰囲気が伝わってきます。
8時45分に入店してレストランを出る頃には11時を回っていました。一皿一皿に感動していた私たちは最後の客。キッチンでは片付けが始まっていましたが、「いいのよ、ゆっくりしていって〜」ととても居心地の良い雰囲気。お店も看板らしいものもなくとってもこじんまりしていて誰かの素敵なお宅のキッチンが併設されたダイニングルームに呼ばれているかのよう。
家での食卓とは全く違う料理たちだけど、各食材に向かう姿勢、お皿の上に載せる時の気持ちなどとってもインスピレーションを受ける経験でした。リサとの特別な夜、不思議な巡り合わせ、ありがとう。