* Herbal Remedy *

ハーブとスパイスで健康な暮らし

食材の味とそれぞれの機能 Taste as Function

良薬、口に苦し。食材やハーブにはそれぞれの味があり、子供の頃好きだったのは甘いもの(今でも??)、嫌いだったのは大抵苦い野菜たち。この味にそれぞれ役割があるのは知っていますか?

 

f:id:atsuko373:20190329061230j:plain

Samples of herbs ハーブのサンプル

漢方の食養生での五味(甘、塩辛、酸、苦、辛)、アーユルヴェーダの六味(甘、塩、酸、渋、辛、苦)。それぞれの味が独自の機能を持っている、またはそれぞれの味に体がどう反応する、というのが昔から考えられていて、それが最近の科学でもちゃんと証明されてきているようです。

 

f:id:atsuko373:20190329061457j:plain

Sweet vegetables 甘い野菜
甘味 Sweet / Bland

key words = demulcent 粘滑、emollient / softening 軟化、moistening 湿潤、soothing 緩和

もっとも栄養・滋養になる。短期的・長期的にエネルギーになる。

成長のための細胞を作る、体や体液を作り強化し修復する、エネルギーを蓄える。

(脂肪、タンパク質、炭水化物、糖質)

撮りすぎると...湿性が高まり消化の停滞、栄養吸収の低下、食欲が落ちる、膨満感、循環や排泄の停滞、粘液(たん)の生成が増加、エネルギー低下、集中力の散漫などが起こる。重い、停滞、淀む。

注意点 -> 精製される前にもともとバランスが取れている炭水化物や砂糖は、精製され甘みの部分だけになると過剰摂取に繋がる。

 

f:id:atsuko373:20190329024535j:plain

 

塩味 Salty

key words = heavy重い、grounding 落ち着いた、moistening 湿潤、soothing 緩和、warming 温める

消化や食欲の増進、栄養の吸収を助ける、体液を保持する(細胞の水分量を高める、たんを薄める、脂肪や体液の流れを停滞させる硬く密度の濃いミネラルを軟化させる)、体液(血液、リンパ液、肝臓、膵臓)を流す・浄化する。他の味との相乗効果で食物の美味しさを高める。

撮りすぎると...水分の過剰な保持、浮腫、血液の停滞、血圧が上がる。消化の過剰な刺激、さんの逆流、胃もたれ、皮膚や神経や組織への過剰な刺激や炎症。

groundingの性質から次の人に有効...落ち着かない、不安、イライラ、神経が高ぶっている、乾燥に悩まされている、消化が優れない、食欲不振。

注意点 -> 甘み同様、精製される前にもともとバランスが取れているので、精製されたもの(sodium chloride)は塩分の過剰摂取に繋がる。色味のついたミネラルが残るものを使うこと。

 

白いご飯は甘くて栄養いっぱいで、昔から梅干しや塩辛などしょっぱいものがお供にあったのはただ美味しいからという理由だけではなく、消化を助ける効果があることを先人たちは経験から知っていたのですね。

また、フランスの田舎でHelp Exchangeをしていた時、胃が痛くて寝込んでいたら、アーユルヴェーダを実践していたおじいちゃんが白湯をたくさん飲みなさいと勧めてくれ、痛みが和らぎホッとしたのをずっと覚えているので、それ以来白湯を飲むようになりました。これも胃酸の逆流を抑えるために胃の中の塩分を薄めるためだったのでしょう。

 

f:id:atsuko373:20190329061759j:plain

Sweet and tart apples 甘酸っぱいりんご
酸味・渋み Sour / Astringency

key words = toning 調整、contracting 収縮、cooling 冷却、moistening 湿潤

細胞組織を作る、粘液の粘膜を強化し整える、胃腸・尿管・肺・肝臓の組織を作り整える、唾液など消化液の流れを増加させる(特に脂肪やタンパク質豊富な食物に対して)。-> よって、食欲を刺激し、消化吸収を高め、ぜん動運動が定期的に働くようになる。

漢方:心のパランスを整える、不安定な精神や気持ちを落ち着かせる(適度な摂取の場合)

アーユルヴェーダ:摂りすぎると、More!もっと!の気持ちが強くなる(食糧、考え、好奇心)。嫉妬、詮索、羨む気持ちが強くなる。

「春」肝臓や胆のうからの胆汁の出を促し、肝臓を浄化、肝機能をよくする。

「秋」寒い季節に向かい体を自然に内へ向かわせる。熱を蓄えるのに役立つ。

脂肪やタンパク質、ミネラル豊富な食物にお供程度の量で摂取するのが適切。焼肉の時のキムチ、バーガーのピクルスなど。撮りすぎるともっと!の気持ちも出てくるので注意。

 

f:id:atsuko373:20190329025256j:plain

 

辛味 Pungent / Spicy

key words = warming 温める、drying 乾燥させる、light 軽い、dispersive 分散させる、antimicrobial 抗菌

甘味・塩味のような重い味とのバランスをとる、消化・吸収の刺激、消化管を落ち着かせガスや膨満感を抑える、体液を温め(代謝を刺激し循環を促進させることで)薄くする(毛穴を開き汗を出させ冷却することで)、体液の流れを促進する(血液やリンパの循環 -> 免疫力を高める)、粘液生成を抑える。五感を研ぎ澄ませる。

撮りすぎると...乾燥する、胃の酸化。

 

f:id:atsuko373:20190329024248j:plain

 

苦味 Bitter

key words = cooling 冷却、drying 乾燥させる、detoxifying 解毒作用、anti-inflammatory 抗炎症性

もっとも代謝活動に効果的。腸神経系に作用し消化活動(特に脂質、でんぷん、タンパク質)に働きかけ、胆汁や消化酵素の出をよくし、消化の促進、食欲増進、体重管理や血中糖分のバランスを図る。

食前に摂取すると食事からくる膨満感や不快感を和らげる準備を整えることができる。

肝臓では:解毒、栄養の代謝、ホルモンのバランス調整

心臓では:循環器系の熱や障害物を取り除く、コレステロールレベルを下げる、コレステロールの利用を助ける。

 

f:id:atsuko373:20190329062136j:plain

Pomegranate and persimmon salad ざくろと柿のサラダ

 

前菜で苦味のあるレタスなどのサラダを食べる習慣があるのも、食べる順ダイエットで野菜から食べるのも、それに続いて食べる食物の消化を助けるのに理にかなった方法だったんですね!

 

甘いだけのミルクチョコレートが主流だった頃に比べ、今ではだんだんと塩味がついたり、カカオのビターが効いたものが増えたりして、消化や代謝を促せるそのチョコレート自体のバランスを整えるのに適した時代の流れのようです。

主食や主菜には甘味や塩味となるものが多いですが、そこへ副菜や添え物としてハーブやスパイスで酸味・辛味・苦味をつけ、味でバランスのとれた献立を考えれば、自然と消化吸収にも優れたメニューになるということですね。五味を勉強して、あらためてもとからある本来の自然のすごさを感じました。